2009年 09月 28日
ちょっと立ち止まって
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旅行博から戻り、さすがにちょっと子供と一緒にだらだらさせていただいている管理人です。
けれども、体だけはだらだらしながらも、毎年この旅行博の直後には、ついいろいろな事を考えてしまうのですよね。
今でこそ旅行の仕事をしている私ですが、元々のお仕事分野は雑誌とかの紙面を作ったりする、エディトリアルデザイナーという分野のお仕事でした。
ライターさんの素晴らしい原稿。カメラマンさんの美しい写真。そうしたものを、どういうふうに見せたらより感動してもらえるのか。よりその意図を正しく伝えられるか。
そんな事を「美」の観点からコントロールする仕事だったわけですが、この「いかに正しく、あるいはそれ以上に企画の意図を読者に伝えるか」という事を考える点において、「いかに予想以上に楽しい旅を作り出し、モロッコの良さを演出するか」という旅行の仕事と、私がかつてしていた仕事というのは同じだと思っていたりします。
雑誌のデザインが、旅の時間のデザインに変わった。
要するに、媒体が変わっただけで、同じような仕事をしているというつもりだったりします。
ただ、この二つが決定的に違うのは、旅の仕事においてはお客様の命をお預かりする以上、責任の重要度が違うという所。デザインでは、失敗してダサいと言われる事があっても、ダサさで人がけがをしたりするような事はひとまずありませんから(笑)
実際のところ、冬に雪が降ればスリップの心配をし、雨が降れば河川の増水を心配し、風が吹けば砂嵐の心配をして眠れなくなるというこの仕事の精神的重圧に、時々「もう、旅の仕事はやめようかなぁ…」等と思う事があります。
けれども、旅行業が持っているデザイン業に無い魅力というのは、やはりこの業界が多くの雇用を生み出す業界であるという事。
お客様がいらっしゃれば、レストランで食べ、ホテルで眠り、電車や車や飛行機を使って移動する。そうすると、そうした業界で働いている幅広い人々に仕事が生まれる事になるわけです。
私が時々プレッシャーに負けてやめたくなる(笑)会社にも、ドライバーや事務スタッフがいて、彼らが働く事で食べて行く事ができる家族がその後ろにつながっていて…。
かつて学生だった頃はどっぷりNGO活動につかって、援助とかフェアトレードとかそういった問題をさんざん考えていた私。
その頃自分がたどりついた自分なりの結論は、おこがましくも助けようと思っている人たちと対等の立場にならないと、本当の意味で彼らの窮状や危機感は理解できないであろうという事。
そして今。
観光産業以外にロクな産業が無い南部モロッコに拠点を置き、自分もその分野で生きる事で、彼らにとっての死活問題は、自分にとっても死活問題になりました。
自分の生活をかけて問題に向き合い、解決していかなくてはいけないという真剣度において、ようやく少しは「それしかない」状態で生きる人たちと同じラインに近づけたのではないかと思うのです。
そんな今、私が実現したいと考えているのは、言葉にするなら「フェアトラベル」。
あり得ない値段の低価格ツアーが新聞に踊る日本の海外旅行市場ですが、地元を買いたたき、日本側でも社員にサービス残業をさせたり…。
そんなふうに誰かから払われるべき賃金であったり時間であったりを搾取して成り立った「格安」というのは、巡り巡って自分たちの首を絞めているように思うのですよね。
そして、サービスを提供する側となるモロッコも、貧しい国だから、貧しいなりの給料と待遇で良いとはやはり思えません。
アフリカなんだから安くて当たり前。
こうした考え方も、間接的な差別なのではないかと思うのです。
だからといって旅人から必要以上にぼったくるというのではなく、お互いにとって適正な価格と価値の中で旅ができる。
一見当たり前の事ですが、そんな旅のサイクルを作っていきたいと思うのですよね。
モロッコでは、法的に正しく日本人を相手に仕事をしている旅行会社が数えるほどしかいないので、まだまだ小さな会社で働く私がこんなふうにマイナーな考え方をもってこの仕事に臨んでいるのは、今の所「基本的に求められているのは安さのみ」といった調子の日本の旅行会社さんにとっては正直迷惑なんだろうなと思いつつ、お客様にも、そしてお客様を迎えるモロッコ側の業者さん達にも、旅を通して出会えた事を喜んでいただけるような形で仕事を続けて行けたらなと思うのでありました。
けれども、体だけはだらだらしながらも、毎年この旅行博の直後には、ついいろいろな事を考えてしまうのですよね。
今でこそ旅行の仕事をしている私ですが、元々のお仕事分野は雑誌とかの紙面を作ったりする、エディトリアルデザイナーという分野のお仕事でした。
ライターさんの素晴らしい原稿。カメラマンさんの美しい写真。そうしたものを、どういうふうに見せたらより感動してもらえるのか。よりその意図を正しく伝えられるか。
そんな事を「美」の観点からコントロールする仕事だったわけですが、この「いかに正しく、あるいはそれ以上に企画の意図を読者に伝えるか」という事を考える点において、「いかに予想以上に楽しい旅を作り出し、モロッコの良さを演出するか」という旅行の仕事と、私がかつてしていた仕事というのは同じだと思っていたりします。
雑誌のデザインが、旅の時間のデザインに変わった。
要するに、媒体が変わっただけで、同じような仕事をしているというつもりだったりします。
ただ、この二つが決定的に違うのは、旅の仕事においてはお客様の命をお預かりする以上、責任の重要度が違うという所。デザインでは、失敗してダサいと言われる事があっても、ダサさで人がけがをしたりするような事はひとまずありませんから(笑)
実際のところ、冬に雪が降ればスリップの心配をし、雨が降れば河川の増水を心配し、風が吹けば砂嵐の心配をして眠れなくなるというこの仕事の精神的重圧に、時々「もう、旅の仕事はやめようかなぁ…」等と思う事があります。
けれども、旅行業が持っているデザイン業に無い魅力というのは、やはりこの業界が多くの雇用を生み出す業界であるという事。
お客様がいらっしゃれば、レストランで食べ、ホテルで眠り、電車や車や飛行機を使って移動する。そうすると、そうした業界で働いている幅広い人々に仕事が生まれる事になるわけです。
私が時々プレッシャーに負けてやめたくなる(笑)会社にも、ドライバーや事務スタッフがいて、彼らが働く事で食べて行く事ができる家族がその後ろにつながっていて…。
かつて学生だった頃はどっぷりNGO活動につかって、援助とかフェアトレードとかそういった問題をさんざん考えていた私。
その頃自分がたどりついた自分なりの結論は、おこがましくも助けようと思っている人たちと対等の立場にならないと、本当の意味で彼らの窮状や危機感は理解できないであろうという事。
そして今。
観光産業以外にロクな産業が無い南部モロッコに拠点を置き、自分もその分野で生きる事で、彼らにとっての死活問題は、自分にとっても死活問題になりました。
自分の生活をかけて問題に向き合い、解決していかなくてはいけないという真剣度において、ようやく少しは「それしかない」状態で生きる人たちと同じラインに近づけたのではないかと思うのです。
そんな今、私が実現したいと考えているのは、言葉にするなら「フェアトラベル」。
あり得ない値段の低価格ツアーが新聞に踊る日本の海外旅行市場ですが、地元を買いたたき、日本側でも社員にサービス残業をさせたり…。
そんなふうに誰かから払われるべき賃金であったり時間であったりを搾取して成り立った「格安」というのは、巡り巡って自分たちの首を絞めているように思うのですよね。
そして、サービスを提供する側となるモロッコも、貧しい国だから、貧しいなりの給料と待遇で良いとはやはり思えません。
アフリカなんだから安くて当たり前。
こうした考え方も、間接的な差別なのではないかと思うのです。
だからといって旅人から必要以上にぼったくるというのではなく、お互いにとって適正な価格と価値の中で旅ができる。
一見当たり前の事ですが、そんな旅のサイクルを作っていきたいと思うのですよね。
モロッコでは、法的に正しく日本人を相手に仕事をしている旅行会社が数えるほどしかいないので、まだまだ小さな会社で働く私がこんなふうにマイナーな考え方をもってこの仕事に臨んでいるのは、今の所「基本的に求められているのは安さのみ」といった調子の日本の旅行会社さんにとっては正直迷惑なんだろうなと思いつつ、お客様にも、そしてお客様を迎えるモロッコ側の業者さん達にも、旅を通して出会えた事を喜んでいただけるような形で仕事を続けて行けたらなと思うのでありました。
by mayoikata
| 2009-09-28 05:11
| 日常雑感